在留期間更新許可申請
申請時期 / 要件 / 審査期間 / 罰則
目次
1. はじめに
日本に在留する外国人には、それぞれ1つずつ在留資格が与えられます。これを『一在留一在留資格の原則』と呼びます。
そして、在留資格以外にも外国人に必ず与えられるものがもうひとつあります。
それは、在留期間です。
在留期間とは読んで字のごとく外国人が日本に在留できる期間のことです。
在留期間は、在留資格とセットで外国人に与えられ、その長さは在留資格によってまちまちです。
どの在留資格にどの程度の長さの在留期間が与えられるのかという情報は、入管法施行規則に列挙されており、短いものは15日、長いものは5年となっています。
入国管理局は裁量(いわば匙加減)で、入管法施行規則に列挙された在留期間の中から入国する外国人に最も適当と思われる在留期間を指定します。
外国人は、指定された在留期間の間は、在留資格の下で許可された活動をすることができます。
そして、その在留期間の後にも引き続き日本に在留し続けたい場合には、在留期間更新許可申請をし、日本に在留できる期間を延長しなければならないのです。
それでは、その在留期間更新許可申請について詳しく見ていきましょう!
2. 在留期間更新許可申請のタイミング
上述の通り、指定された在留期間の後にも日本に在留し続けたい場合には、在留期間更新許可申請をしなければなりません。
在留期間更新許可申請は、現在有している在留資格の在留期間が切れる前に行わなくてはいけません。
しかし、在留期間が切れていなければいつでも良いというわけではなく、在留期間更新許可申請が受理されるタイミングには下記の通りおおよその目安が存在しています。
現在の在留資格の在留期間が3か月よりも長い場合
この場合、在留期間更新許可申請が受理されるのは、現在の在留資格の残余期間がおおむね3か月以内になる時点以降です。
現在の在留資格の在留期間が3か月以内の場合
この場合、在留期間更新許可申請が受理されるのは、現在の在留資格の残余期間がおおむね2分の1以上経過した時点以降です。
引続き日本に在留したい場合は、上記のタイミングを目安に申請をするのが良いでしょう。
3. 在留期間更新許可申請の審査期間
在留期間更新可申請の標準処理期間は、2週間から1か月です(出入国在留管理庁のWEBサイト参照)。
なお、標準処理期間とは、国民から申請等があった場合に、それに対して行政側が何かしらのアクションを起こすまでに掛かる標準的な期間のことで、行政側が任意に設定しているものです。
ここで注意しなければならないのは、標準処理期間とはあくまでも目安であり、行政側にはそれを遵守する法的義務がないという点です。
つまりは、標準処理期間は2週間から1か月でも、実際には審査にもっと日数が掛かったというケースもあり得なくはないのです。
よって、後になって慌てることがないように、なるべく早めに申請をしておくことが推奨されます。
なお、在留期間更新許可についても在留資格認定証明書や在留資格変更許可と同じく地方出入国在留管理局に出頭し、申請書等を提出して申請を行います。
そして、この出頭して申請書等を提出するというプロセスも、やはり申請取次者等が代わりに行うことができます。
4. 在留期間更新許可の要件
要件とは、簡単に言えば条件のようなものです。
他の申請と同様、在留資格変更許可申請も、一定の要件を満たした場合にのみ許可されます。
それでは、在留期間更新許可の要件をひとつずつ見てみましょう。
在留資格該当性
在留資格該当性とは、入管法7条1項2号にて挙げられている、下記の要件です。
申請に係る本邦において行おうとする活動が、入管法別表第一の下欄に掲げる活動又は入管法別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動のいずれかに該当していること。(一部抜粋、一部編集)
上の条文を噛み砕くと、つまりは「入管法に列挙されている在留資格のうち、いずれか1つの下で許可されている活動を、外国人が行おうとしていること」ということです。
この要件に当てはまっていることを「在留資格該当性がある」と言います。
逆に言えば、入管法に列挙されている在留資格の下で許可されていない活動を予定する外国人には、「在留資格該当性がない」ということです。
余談ですが、入管法7条1項2号は、元々は上陸許可の要件ですが、在留期間更新許可申請の要件としても上記の通り流用されています。
狭義の相当性
狭義の相当性とは、外国人の在留中の活動状況、行状、在留の必要性・相当性等の事実によってその有無が判断される要件です。
噛み砕いて言えば、「日本に在留している間の外国人の行動等の様々な事情を勘案して、在留資格の変更を認めるか否かを決める」ということです。
そして「上記のような様々な事情を勘案した上で問題なしと判断する」というような状態のことを「狭義の相当性がある」と表現します。
狭義の相当性の判断基準は、出入国在留管理庁が発行した『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』に列挙されています。
一部を例として挙げると、「素行が不良でないこと」、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」等の基準が列挙されています。
在留資格の保有
「当たり前でしょ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、在留期間更新許可の要件には「現に在留資格を有していること」というものがあります。
在留期間の更新は入管法21条に下記の通り規定されています。
本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。
出入国管理及び難民認定法 第21条
確かに条文を読めば「現に在留資格を有していること」が要件であることはわかるのですが、なぜこのように当たり前の要件をわざわざ取り上げて説明しなければならないのでしょうか?
それは、元々は在留資格を有していたが、後発的な事由によりその在留資格が取消されたり、退去強制手続きが取られたりするケースがあるからです。
なお、在留資格取消手続き中又は退去強制手続き中であっても、実際にそれらの処分が済むまでは一応は「現に在留資格を有している」状態であるため、在留期間更新許可申請をすること自体は可能です。
在留資格変更許可は、基本的には上記3つの要件に該当するか否かを審査した上で、許可・拒否が決定されます。
5. 在留期間更新許可申請に関する注意点
さて、ここまで在留期間更新許可申請に係る情報の概要を見てきましたが、いくつか注意しなければならないことがあります。
注意点は枚挙に暇がありませんので、重要と思われるものをピックアップしました。
5-1. 「特定活動」の在留資格を有する場合の手続き
在留資格変更許可申請のページでご説明した通り、「特定活動」の在留資格を有している場合は少々注意が必要です。
まず、下記の例を見てみましょう。
Aさんは、「特定活動8号」の在留資格で外国人弁護士として活動しています。
そんなAさんですが、日本に居る友人から「その仕事が済んだら、日本でスキーのインストラクターとして活動してみないか」との誘いを受けています。
Aさんはスキーの資格を持っており、指導者としての実力も申し分ありません。
Aさんの在留資格の残余期間はあと1か月なので、Aさんは在留期間更新許可申請をした上で、友人の勧め通り、スキーのインストラクターとして活動しようと考えています。
スキーのインストラクターとして活動するために必要な在留資格として定められているのは、「特定活動50号」の在留資格です。
Aさんはもともと「特定活動8号」の在留資格を有しているので、同じ「特定活動」の在留資格であるスキーのインストラクターとしての活動も、問題なく行えると考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、このケースでは、Aさんは在留資格変更許可申請をして「特定活動8号」の在留資格から「特定活動50号」の在留資格へと変更を許可してもらう必要があります。
このように、「特定活動」というくくりは同じでも、「特定活動」の中でもまた異なる活動をしたい場合には、在留期間更新許可申請ではなく、在留資格変更許可申請をしなければならないので、注意が必要です。
5-2. 離婚をした場合の手続き
こちらも在留資格変更許可申請でもご説明した通りとなりますが、外国人が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」として、日本人又は永住者の配偶者として日本に在留している場合、離婚をしたら基本的には在留資格変更許可申請をする必要があります。
しかし、下記のような場合は、在留資格変更許可申請ではなく、在留期間更新許可申請をする必要があります。
外国人Cさん:日本人Dさんと結婚し、「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に在留
↓
その後、日本人Dさんと離婚
↓
「日本人の配偶者等」の在留資格の在留期間内に、他の日本人Eさんと再婚
上記の場合、Cさんは離婚と再婚を通じて当初とは違う人の配偶者となりました。
しかし、元配偶者のDさんも、現配偶者のEさんも、両方とも日本人であることに変わりはありません。
つまりは、Cさんは一貫して「日本人の配偶者等」であるので、例え離婚及び再婚をしても在留資格変更許可申請をする必要はありません。
在留期間が切れる前に在留期間更新許可申請をするだけでよいのです。
5-3. 罰則
外国人が、在留期間の更新を適切にせずに在留期間を超過して日本に在留している場合、退去強制事由に該当するほか、不法残留罪として刑罰(3年以下の懲役等)が適用されます。
6. まとめ
外国人が日本に在留していると、いつか必ず在留期間が切れるタイミングが訪れます。
そのような場合に適当な手続きを取ることができないと上述した通り罰則が適用されてしまうので、十分にご注意ください。
また、このページをご覧になって疑問に思ったことやもっと詳細に解説してほしいこと等がございましたら、ぜひお問い合わせをお願い致します。
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