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永住許可が取り消される4つのケース

永住許可が取り消しとなる場合 / 永住権の再取得 / 永住許可を取り消されないようにするには

永住許可が取り消されることはある?

結論から言えば、永住権は一定の条件に該当すると他のビザ(在留資格)と同様に取り消されてしまいます。

しかし、永住権が取り消されてしまうのは主に虚偽の申請をしたり、犯罪に手を染めたりしたりと何かしらの悪事を働いた場合、又は必要な届出を行わなかった場合に限られます。

つまり、悪事を働かずに真面目に生活をしていれば永住権が取り消されてしまうことは基本的にはありません

永住許可が取り消される4つのケース

永住許可が取り消されるケースは、次の通り大きく分けて4つ存在します。

  1. 不正をして上陸許可を受けた場合
  2. 住居地の届出を適切に行わない場合
  3. 再入国(みなし再入国)期間中に日本に再入国しない場合
  4. 退去強制事由に該当することとなった場合

不正をして上陸許可を受けた場合

不正をして上陸許可を受けた場合は、入管法第22条の4第1号~第4号に該当することとなり、永住ビザ(「永住者」の在留資格)が取り消されることとなります。

不正をして上陸許可を受けるというのは、具体的には次のような場合です。

  • 嘘をつく等の不正な手段によって上陸許可を受けた
  • 捏造・改ざん等した不実の記載のある文書等の提示・提出によって上陸許可を受けた

ちなみに…

一般的に、永住許可を得るのは外国人が日本での滞在を始めてから5年や10年経った後になります。
ともすれば、「5年や10年も前の上陸許可時の不正なんてバレないんじゃないか…?」と思うかもしれませんが、入管関連の不正はいくら時間が経とうとも必ずバレてしまいます。
なぜかというと、日本で暮らす外国人は、入管関連の申請や届出を不定期的に継続して行う必要があり、なおかつ申請や届出の際には過去の経歴等が明記された諸書類を提出する必要があるからです。過去に不正を働いたことがあれば、諸書類に記載されている内容に整合性がなくなり、いずれ不正が明るみに出ることとなります。

居住地の届出を適切に行わない場合

日本に滞在する外国人が引っ越しに伴って住居地が変わった等の場合には、その旨を届出る義務が発生します。

この義務を履行しない場合、入管法第22条の4第9号及び第10号に該当することとなり、永住ビザ(「永住者」の在留資格)が取り消されることとなります。

住居地の届出を適切に行わないというのは、具体的には次のような場合です。

  • 引っ越し等により届出済の住居地から退去したにも関わらず、退去の日から90日以内に、出入国在留管理庁長官に、新住居地の届出をしない場合
  • 出入国在留管理庁長官に、虚偽の住居地の届出をした場合

再入国(みなし再入国)期間中に日本に再入国しない場合

永住者が一時的に日本を離れる際、再入国許可(みなし再入国許可)を受けてることができます。これにより、日本から出国する時点で有している永住ビザ(「永住者」の在留資格)が継続した状態のまま日本国外に出ることができます。

ただし、再入国(みなし再入国)期間中に日本に再入国しなかった場合、永住権は消滅してしまいます。

永住権が消滅してしまった場合、再度永住権を得るためには、またゼロから日本での継続在留歴等を積み重ねていかなければなりません。

関連記事:再入国許可 – 通常・みなしの違い、要件、再入国期間の延長、許可の取消

退去強制事由に該当することとなった場合

退去強制とは、簡単に言えば犯罪行為等を働いたことにより日本から強制的に出国させられることです。

退去強制をされた場合は、これに伴い永住権も消滅することとなります。

退去強制がされる原因には、次のようなものがあります。

  • 上陸許可を受けることなく日本に入国したこと
  • 不法就労をし、又は他人に不法就労をさせたこと
  • 偽造在留カードを所持・使用したこと
  • 資格外就労活動を専ら行っていると明らかに認められること
  • 在留期間が切れているのに日本に残留していること
  • 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供を含む売春に直接に関係がある業務に従事したこと
  • 違法薬物を所持・使用したこと

永住許可を取り消されないようにするには

冒頭で説明した通り、永住権が取り消されてしまうのは主に虚偽の申請をしたり、犯罪に手を染めたりしたりと何かしらの悪事を働いた場合、又は必要な届出を行わなかった場合です。

つまりは、善良な一市民として通常の生活を送っている限りは、永住許可を取り消されることは基本的にはありません。

永住権を再取得することは可能?

結論から言えば、永住権が取り消された後でも再度永住権を得ることは可能です。

ただし、再度永住権を得るためには永住許可の要件に該当している必要があります。

つまり、永住許可の要件のひとつである日本継続在留要件を満たすために、通常であればまたゼロから10年間の在留履歴を積み上げていく必要があります。

よくある質問

Q. 永住権を有して日本に滞在していますが、配偶者(日本人)と離婚しました。永住権は取り消されますか?

A. 永住権を有している場合は、配偶者との離婚や死別によって永住権が取り消されることはありません。

Q. 永住権を有して日本に滞在しているときに退去強制を受け、母国に帰りました。再度日本に入国する際に永住権を得ることはできますか?

A. 永住権を再度得ることは可能です。

ただし、過去に永住権を有していたとしても、永住許可申請の際に全ての永住許可要件に適合している必要があります。

Q. 以前、永住権を取り消され母国に帰り、この度再び永住許可の申請をする予定です。過去に永住者として日本に滞在した期間は、継続在留要件の期間として計上できますか?

A. 一度母国に帰ったということなので、過去に永住者として日本に滞在した期間は、継続在留要件の期間には計上されません。

出入国在留管理庁が発行した『永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改訂)』によれば、「引き続き10年以上本邦に在留していること」が要件となっています。

つまり、母国に帰った時点でこの「引き続き」という要件を満たさないことになります。

まとめ

永住ビザ(永住権)を受けるのは簡単ではありませんが、一度永住権を得てしまえば活動や在留期間に制限を受けることなく、他のビザ(在留資格)を有する方々よりも自由な生活を送ることができます。

永住権を再取得するためには、継続在留要件を満たすなど相当な苦労と時間が必要になります。

再取得が必要な状況に陥らないよう、普段から善良な一市民としての生活を心がけ、また必要な手続や届出は可能な限り早めに済ませるように心掛けるようにしましょう。

下記のページには永住許可・永住権に関する役立つ情報が掲載されていますので、もしよろしければこちらもご参照ください。

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