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永住許可における『在留歴10年』の特例

在留歴が10年未満でも特別に永住許可申請ができる場合

1. はじめに

日本_パスポート_地図

『永住許可の要件』のページで解説した通り、外国人が永住許可を受けるためには『引き続き10年以上日本に在留していること(日本継続在留要件)』という要件に適合している必要があります。

しかし、この『日本継続在留要件』には例外がいくつかありそれらの例外のいずれかに該当する場合には、日本における在留歴が10年未満でも永住が許可されることもあります。

今回は、『日本継続在留要件』の例外についてケースごとに詳しく解説をしていきます。

2. 永住許可を受けるためには『10年以上の継続在留歴』が必要(『日本継続在留要件』)

上述した通り、外国人が永住許可を受けるためには『引き続き10年以上日本に在留していること(日本継続在留要件)』という要件に適合している必要があります。

『日本継続在留要件』に適合する例・適合しない例
『日本継続在留要件』に適合する例・適合しない例

上のチャートは、『永住許可の要件』のページで『日本継続在留要件』について解説するために用いたものです。

途中で在留資格の変更をしたか否かという違いはありますが、AさんとBさんは永住許可申請の許可を得るために『日本継続在留要件』に適合する状態になるまで日本で継続的な在留を続けた後に申請をしています。

  • Aさん:
    就労資格を入手してから10年間在留を続け、その後、永住許可申請
  • Bさん:
    「留学」の在留資格での在留期間と、就労資格での在留期間を合算して10年間在留を続け、その後、永住許可申請

このように、永住許可申請をするまでには通常は10年という長い時間が必要となりますが、より短い期間で永住が許可される特別なケースも存在します。

次の章ではその特別なケースについて解説していきます。

3. 在留歴が10年未満でも特別に永住許可申請ができる場合

上述の通り、通常は永住許可を受けるためには10年以上継続して日本に在留していることという要件(『日本継続在留要件』)が設けられています。

しかし、この要件には下記の通り①から⑦までの7つの例外があります。

いずれかの例外に該当する者は、10年の在留歴の代わりに、それぞれの例外に規定されている条件に示されている期間だけ日本に継続して在留すれば、10年未満の在留歴しかなくとも永住許可申請をすることが可能になります。

以下、7つの例外とその条件です。

①日本人や永住者の配偶者または子ども

赤ちゃんと母親
  • 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合
    実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。
  • 日本人、永住者及び特別永住者の実子等の場合
    1年以上本邦に継続して在留していること。

ちなみに…

ここに言う『日本人、永住者及び特別永住者の配偶者』や『日本人、永住者及び特別永住者の実子等』とは、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格を有することを指しているのではありません。

つまりは、上記のような在留資格を有していなくても、『実体として』日本人や永住者等の配偶者又は実子であれば、上記の例外に該当することとなります。

②「定住者」の在留資格を有している者

「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。

③難民の認定を受けた者

難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること。

④特定の分野で日本への貢献があると認められる者

サッカー_スポーツ

外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること。

ちなみに…

この例外の対象となるのは、例えば下記のような人たちです。

ノーベル賞受賞者、日本国内の企業の経営に携わり経済の発展に貢献した者、芸術分野で権威ある賞を受賞した者、オリンピック等の大会で上位入賞した者

⑤特定分野で研究、教育、情報処理等の活動をする者

地域再生計画の区域内に所在する公私の機関において、特定活動告示 第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること。

なお、特定活動告示第36号は『研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者』第37号は『情報技術処理者』としての活動をそれぞれ規定しています。

⑥高度専門職省令に規定するポイント計算で70点以上を有する者

高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの

  • ア:「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
  • イ:3年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。

ちなみに…

ポイントとは、『高度専門職省令が定めるポイント計算に係る基準』という入国管理局が公表している計算表を元に算出される、外国籍の人材を評価するための指標です。

一定以上のポイントを有する『高度なスキルを有した外国人』に対しては、例として下記のような出入国在留管理上の優遇措置が講じられます。

在留歴に係る永住許可要件の緩和(『在留歴10年』の特例)、配偶者の就労、無期限の在留期間の付与等

外部リンク:ポイント計算表

⑦高度専門職省令に規定するポイント計算で80点以上を有する者

高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの

  • ア:「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
  • イ:1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。

4. まとめ

今回お話ししたように、条件はあるものの、永住許可を得るに当たり『在留歴10年』という要件は必ずしも必要があるわけではありません。

在留期間に限らず、ご自身では「永住許可を受けることはできないんじゃないか…?」と思われていても、特例等が設けられており「実は永住許可を受けられる可能性がある!」ということもあるかもしれないので、あきらめる前にまずは専門家に相談をしてみることをお勧め致します。

また、このページをご覧になって疑問に思ったことやもっと詳細に解説してほしいこと等がございましたら、ぜひお問い合わせをお願い致します。

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